ねこのえそらごと
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03/19/20:38 [PR] |
03/02/05:06 Carnival:prologue―神々の黄昏から千余年。
神々は自らの姿を模した生き物、人間を造り、繁栄へと導いた。 だが、神々の想定以上に人間は知恵を持ち、力を付けていった。 そしてそれに呼応するかのように、異形なる者達の力も増していった。 ある者はより巨大に、ある者はより醜悪に、ある者はより邪悪に。 世界の均衡は、少しずつ綻びを見せていった―― 首都プロンテラ― 一人の若い修道女が露店街を歩いていた。 買い物、と言う風には見えない。何かを探しているようだった。 ふと、彼女が歩みを止めた。 『本当にこの辺りで見たの?』 彼女の左耳にはエンペリウムのイヤリングが煌いていた。 それを介し、誰かと会話しているようである。 『…うん、わかった。もう少し探してみる。うん…うん…』 話が終わったのだろう。 彼女は再び歩き始め、落ち着かない様子で辺りを見回しながら 溜息混じりにその足を進めていく。少しずつ、少しずつ。 少しの見逃しも無いように、慎重に。 と、一度通り過ぎようとした時、彼女は気付いた。 どうやら目的の物がそこに在ったのだろう。 体をそちらへ向き戻し、彼女は口を開いた。 「やぁっと見つけたわよ、慧冶!」 慧冶、とは人の名であろう。 声が向かった先で一つの背中がびくんと飛び跳ねた。 「え…げ、マスター!?」 「何が『げ』なのかしら?詳しく話を聞きたい所だけれども。」 彼女の方が立場が上なのだろう。 彼女をマスターと呼ぶシーフの少年―慧冶は身を竦め申し訳なさそうに 「その、黙って留守にしたのは悪かったけどさ…こっちも色々考えて」 「言い訳は帰ってから聞きます。とりあえず皆の所に戻るわよ。いいわね?」 今は言い訳の余地は無いようである。 「…はい。」と短く返事をし、慧冶は肩を落とした。 「まったく、貴方にとってこれからが大事な時期なのに、そんなちゃらんぽらんでどうするのよ?」 「すいません…。」 「ギルド全体の士気にも関わってくるんだから。わかってる?」 「面目ありません…。」 ………… 帰りの道中、彼女の小言は延々続いた。 ―It continues. PR
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